Sense of Humor♪

 朝のニュース番組を見ていると、
「Dave Cornthwaite(英国人)が22日、パースからブリスベンまでの5823キロのスケートボードの旅を終え、世界記録を達成した。」
という放送があった。

 今回の旅は慈善金募金の目的だったらしく、集まった慈善金は、難病の治療法を研究する団体、アフリカの教育促進を行っている団体、また、障害者へのヨット競技を支援する団体に寄付されるらしい。

 こちらは、基本的に6チャンネルで、ABC、SEVEN、NINE、TEN、SBS、TVSという放送局がある。ニュースでよく見るのは、SEVENという民間放送の朝の放送だ。メインのニュースキャスターは男女二人いて、ニュースを伝える。現地のアナウンサーも勿論活躍して、あちこちで起きる生の声を届けている。

 面白いな、と思うのは、何かひとつのテーマに関して、ゲスト(パネラー)を二人迎えて、よく、討論を行っていることだ。
両者、違う意見を持っていて、ディスカッションするのだが(メインキャスターも交えて)、どんなに意見が違っても、ケンカになるような事がなく、どこかでユーモアのある事を誰かが言って、必ずと言っていいほど、笑いが起こる。
(メインのキャスターは、この辺のユーモア感覚、バランス感覚、それは見事なものを見せてくれる。)
「こんな考え方もあるけど、そんな考え方も・・。
でも、こうじゃない・・。(笑)なるほどね・・。(笑)」
決して、相手を打ち負かすというのではなく、あくまで、討論を楽しんでいるというところがすごいと思う。
 意見を否定されても、それで人格全体を否定されたように、カリカリする人はあまりいない。
考え方は違っても、だからといって、相手を拒否する事はなく、まず、人間として、暖かく受け入れている。

 勿論、とてもシリアスな場面も度々あるし、悲しいニュースもたくさんある。
が、明るいニュースには、笑顔やユーモアのあるやりとりがたっぷりある。

 番組へのFAXを読むところもあって、視聴者からの声を、よく取り上げている。
「そうなのよ。うちの姪っ子も・・。」
などと、キャスターが、共感して言ったり、収録が終わった後、スタッフと笑顔で抱擁する場面なども撮されていて、ニュースキャスターの人間味を感じさせる。
この番組のスタッフは、人間性を重視して選ばれているのだろうな、と思う。

 時代の移り変わりに伴って、多々の問題を抱えているとはいえ、ここは、やっぱり『笑顔の多い国』だと思う。

 IECの卒業式、生徒のスピーチに動物の話が出てきた後、校長が、
「ミャオー!ミャオー!あれ?どこに動物が?」
と、猫の鳴き真似をしてみんなを笑わせたりして、びっくりしたことがあった。
様々な場面で、とっさに出てくる言葉に、その人の気持ちの余裕を感じて、感心することが多い。

 ユーモアといっても色々あるが、『人の事を笑う』より、むしろ『自分を笑う』系のもの、『素朴な笑い』が多い気がする。
人の揚げ足をとったり、ある人を意地悪くおかしく見せる、そして優越感を感じる、というものは少ない。
階級(クラス)意識があまりない、ということもあるのだろう。みんなが、平等、という感覚が、当たり前だ。
あんまり人と比べてあくせくする、という感じを受けない。自分は自分。それでいいじゃない、みたいな感覚。
それが、ある意味、向上心を生まない理由となるのかもしれないが、のんびり暮らして行くには、とても清々しくて心地よい。

 ある時、人種差別的な事を大きな声で言う人がテレビに映っていて、
「彼女は、 オーストラリアを醜く見せている。」
と嘆く人たちの意見が、後で、新聞に載っていた。
 言動に関する美意識からの意見だ。
 ユーモア感覚、というのも、人格に関する美意識、というものに大きく関わってくるものだと思う。
 いろんな事に、結構おおざっぱだったりしても、こういう美意識と優しさが大切とされる社会は、やっぱりすばらしいと思う。

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