去年の暮れに手芸屋さんで見つけた、白とブルーのフワフワの毛糸。
Aiが編み物をしたいというので、買って帰った。
・・が、かぎ針編みの棒は日本から持ってきていたのだが、棒針編みの編み棒が無いことに、後で気づいた。
店も閉まってしまい、編み棒を手に入れるには数日かかりそうだ。
いつもなら少しくらい待つところだが、なぜか、
「マフラーを棒針で編みたい!!」
という強烈な意欲に駆られた彼女。
「お箸でやろうかな?」
と、ポツリと言う。
そこで私が、
「菜箸なんて、編み棒とそっくりだよね!いいっちゃない?」
と、これまた無責任な発言をする。
・・しばらくして様子を見てみると、本当に、彼女は菜箸でマフラーを編みだしていた。
「結構いいかも・・。」
と、まんざらでもなさそうだ。
太さがあるので、目が粗くなるが、逆にふんわりとした良い感じになっている。
片方は、ちょっと湾曲している菜箸だが、そんなことはたいした問題ではない。
菜箸で編み物をする少女のいる風景は、多少違和感を感じるが、まちがいさがしのようなもので、ふと見ただけでは気づかない程度のギャップだ。
作りたい!という気持ちに勢いがあったので、あっという間に完成してしまった。
「きっと、これは思い出のマフラーになるね。」
と、話している。
マフラーもさることながら、自分の持ち分でない仕事を見事にやり遂げてくれた、この菜箸も、思い出の菜箸になることだろう。
普段、何気なく使っているが、なんだかもう、「亀*の柿の種」の小袋の裏側に書いてある、けなげ組の仲間に入れてもらってもよさそうな、健気さを感じてしまう。
一言お礼を言って、又、持ち場に戻ってもらうことに。
シドニーで、菜箸で編んだマフラー・・忘れられない思い出になることは、間違いない。
*作成途中の図。