☆B・I・K・E☆

byc1r_01 大学のボスが貸してくださっている自転車(この国ではbikeと言うようだ)。
 Haruは、毎日これに乗って学校へ通っている。

 結構起伏のある土地なので、最初は息があがって、一時間近くかかっていたが、かれこれ8ヶ月にもなるのと、だんだんタイムが縮まってきて、30分をきるようになってきた。
 バスで行くこともできるのだが、バスは遅れて来る事もあるので、待ち時間も入れて考えると、自転車の方が効率が良い。
 健康的にもいいし、何より、道を走りながら、花の香りに気づいて、ちょっと立ち止まったり、風景を感じながら走れるのが楽しいようだ。

そういえば、こちらでは、まだ俗に言う『ママチャリ』を見たことがない。
あるのかもしれないが、マウンテンバイクが圧倒的に多いのは確かだ。

bicy2r 規則で、自転車に乗る人は、ヘルメットをかぶることになっている。
流線型のカッコイイ形のものが多い。

 ただ、たまに、キャップや麦わら帽子の上に、このヘルメットをかぶって走っている人がいるのに、びっくりする事もある。

 
 こちらでは、自転車は車道を走る規則。
で、歩道を走っていると、
「ここを走っちゃ、危ないじゃないのよ!!」
と、歩いているおばさんに手を振り上げて怒られたりする。
かといって、車道を走るのは、命がけだ。
 おばさんに怒られても命に別状はないが、車道で車にひかれるのはごめんだ。
ということで、あまりに交通量の多い所は、あえて、怒られる方を選んで歩道を走っているようだ。

 この国の人たちは、列をなしているレジで長話している人に対しても、怒ることもなく、ただ黙ってじっと待っていたりする。
とても気が長い印象を受けることが多いのだが、こと、運転となると、人が変わってしまうようなのだ。
 車道を走る車のスピードは、とても速い。そして、クラクションを鳴らす人もとても多い。
自転車で走っていると、いきなり、後ろから、
「**!****!」
大声で怒鳴られることもある。
はたまたヤジを飛ばされることもある。
「どっちにしろ、あんな早口のスラングなんて聞き取れないし、もう聞き流しているよ。」
ということだ。
下手して相手をしてしまうと、恐ろしいことになりかねない。

 以前、車で走っていたら、どうやら仕事仲間らしい人たちが2台の車に乗って横を走っていた。
信号待ちしていた時に、後ろの車の人が、窓から顔を出して、前の車に大声でちょっかいをかけ始めた。
ちょっと色の浅黒い、二の腕にタトゥーをした若者だ。
すると、信号が変わったとたん、
「ドン!!」
と、前の車はバックして、後ろの車にぶつかってきたではないか。
 驚いたのは、それでも、まだ笑っている後ろの車の運転手。
「捕まえてみろよ、ヘーーン!!」
みたいな事を言いながら、前の車にちょっとぶつかって、脇へ逸れ、全力失踪を始めた。

 間近で見ている私は、ただただ唖然とするばかり。
ただ無事に家に着くことだけを願って走ったことだった。