涙の理由

 学校から帰ってきたTaikiの目が、なんだか潤んでいる。
「どうしたの?」
「何にも・・。」
と言うが、やっぱり様子がおかしい。頬には、汚れた手で涙をぬぐった後の黒い模様が・・。

 聞いてみると、クラスの友達が、彼に向かって、何度も何度も、
「What are you doing?」
と言ってからかってきたのが、悲しかったらしい。
その時は黙っていたのだが、帰りがけになって、涙がこみあげてきたと言う。

 以前、他のクラスの子達数人が
「Say! I'm Gay. Say!!(ゲイだって言えよ!)」
何度も、何度も言ってきた事があって、その時は、頭に来て、
「Are you gay?」
と言い返したら、黙って向こうに行ってしまった、と言っていた。

 嫌だったら、嫌だと伝える事が大事なのだろう。
今度そんな事があったら、
「Shut up!」とか、「Don't say that!」とか、もしくは
「What are you doing?」
と聞き返すとかして、自分の不愉快な気持ちを伝えようね、と話した。
人が嫌がることをしてはいけない、という事を、相手の子にわかってもらうためにも、怒ることが必要な場合もあるのだと話した。
 以前の経験を思い出したようで、Taikiも、だんだん落ち着いてきた。
多分、この次には、この経験を生かしていくのではないかと思う。

 そういえば・・と話してくれたが、逆に、仲のいいアンドリューという子は、Taikiが今日、彼に英語でしゃべったら、
「話せるじゃない!みんなに、言いなよ、今の言葉!言ってみな!」
と、大喜びしてくれたらしい。

 今学期は、彼なりに、学校の社会に適応しようとしていて、ランチもおにぎりだと、
「そんなにライスが好きなの?」
と、珍しがられたりするので、みんなと同じサンドイッチがいい、と言い始めた。
11時頃のrecess(休憩時間)にも、以前はスナックはいらない、と前は言っていたのだが、
「食べなくて大丈夫?」
と友達に気にされるのが嫌だからと、スナックも持って行くようになった。

 嫌なことや、失敗することも、たくさんあると思うけど、そこから学ぶことも多いはず。
転んで、泣いて、そして立ち上がって、涙をふいて、One Smile, one step!
明日はきっと、もっといい日に!!