あちらこちらで卒業式があるこの季節、別れの曲が巷でよく流れていて、思わず切なくなることがある。
別れるって時に、初めてその存在の大きさに気づく・・そんな事も多いような。
『おぼえていろよ おおきな木』(さのようこ 作/銀河社 出版)は、ひとりのおじさんと大きな木のお話 :crchon:
おじさんの家は、大きな木のかげにあるのですが、木のことでおじさんはイライラしています。なぜって朝ゆっくり寝ていたくても、木に集まってくる小鳥のさえずりがうるさくて眠れないし、木の陰になって洗濯物もパリッと乾きません。腹が立つことはまだまだあります。夏にハンモックをかけて寝ていると毛虫がくるし、寒くなる季節には、掃いても掃いても落ち葉が落ちてくるし・・。
「おぼえていろ!!おぼえていろ!!」
おじさんは おおきな木を 切り倒してしまいました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
それから、おじさんは朝、小鳥の声に目覚めることもなくなりました。洗濯物を干すロープをかけていた枝もなくなりました。ハンモックで寝ようにも、ぶらさげる木がないし、ほうきがあっても、もう木の葉はありません。
おじさんは、きりかぶをみて、それから うえの ほうを みました。
そらが あるだけでした。
ある日、おじさんは大きな切り株を見て、たまらなくなりました。そして、大きな声で、泣きつづけました。
おじさんは なきやんでも、まだずっと したを みていました。
よくみると、きりかぶから ちいさな あおいめが でていました。
おじさんは かおを くっつけて、まちがいではないかと、よくみました。
やっぱり あたらしいめでした。
そして・・。
(*青字の部分は本からの引用です)