TREASURE HUNTING!

 子どもたちは、学校から帰ってくると、よくバックヤード(裏庭)でボール遊びをやっている。yumiyar
かなり広いスペースがあるので、Popも一緒になって走り回って、いい運動になっているようだ。

 今日も、そこで男の子たちが遊んでいた。
しばらくすると、家の中にいた私のところにTaikiが自分で作った弓矢を持って来て
「今からボクがすることは、よくないかもしれないけど、ごめんね。
隣の小屋に登って、この弓矢を飛ばせば、取れるから、ボールを取ってくるね。」
と言う。
なんだかワクワクした様子だ。ckaer

「ちょっと待って!」
何やら危険なニオイが漂っている興奮ぶりである。

 一体何事?

 よく聞いてみると、つまり彼の蹴ったボールが隣の家の木の上にボールがのってしまった。
それを 取るのに塀を越えて隣の家の小屋に登る。そして弓で矢を飛ばしてボールを打ち落とすよ。そういう話のようだ。
彼は弓矢で打ち落とす、という事に非常にワクワクしている様子。 
 確かに弓矢を使うのにもってこいのチャンスではあるが・・大人的には、いくつかの問題がある。
「Taiki、まず、隣の家の敷地に入ったのならば、お隣さんのところに玄関から行って、謝らなきゃ。そして、取らしてもらわなきゃ、だめだよ。」
「うーん、でも、木が高くて、そっちからだと取れないと思うよ。」
見に行ってみると、確かに地上からすると5mくらいの高さの木の枝にはさまっている。

 どうしたものだろう・・。お隣に行って、話をしても、あの高さ・・取れるかどうか・・。
と、困っているところへHaruが帰ってきた。
 事情を説明して、もう一度庭から見てみると、ボールは・・ない。
どうやら風でお隣の庭に落ちてしまったようだ。

「Taikiと隣の家に行って、謝って、取ってくるよ。」
と言ってくれたので、これは助かった、とばかりにHaruに、この勇気のいる仕事をお願いした。

 ところが何分たっても帰って来ない。
どうしたのだろうか?もしや、子どもやPopがうるさいとか、小言を言われているのでは?
もしかして他にも、私達は、何かオーストラリア的には問題となる行動をしているのだろうか?
私も怒られに行った方がいいだろうか?
心配になって携帯電話にかけてみると
「ちょっと今交渉中!」
と、Haruの緊張した声。
これはいったい・・?

 30分ほど経っただろうか・・。やっと帰って来た二人。
話を聞くと、家の裏にあるお隣さんの場所を探すのが、まず大変だったらしい。
家の庭にある大きな木を目印にすれば、その裏にある家は分かると思っていたら、大きな木など山ほどあるので、そんなものは何の目印にもならなかった。
 しかもお隣といっても、家の裏にあたる所なので、家から行くとかなり回り込まなくてはならず歩いたら20分はかかりそうな距離。車でも5分くらいかかる。

 多分ここらへんだろう、ということで訪ねてみると、年配の方が、うさんくさそうに出てきた。
「すみません。庭にボールが入ってしまって・・。」
と事情を説明しても、厳しい顔をしたままで、敷地に入らせてくれない。
そして、庭に探しに行ったが戻ってきて
「ない。」
と一言。
身も蓋もない話である。
が、そこでHaruが、自分は、日本から来て半年で、大学に来ていて、それから・・と自己紹介を必死ですると、やっと少しずつ気持ちが解けて、話をしてくれるようになった。
「そうか。自分も日本人の知り合いがいる。お前はゴルフをするか?」
等々・・。危険な人物ではないと安心したのだろう。
Taikiにも話しかけてくれて
「サッカーは好きなのか?」
とか、色々聞いてくれた。

 結局その人(ジェームズと自己紹介して、握手してくれたらしい)は、隣の家の庭にボールがあるのを見つけてくれて、わざわざ隣の家まで連れていって事情を説明してくれた。
お隣さん(ニックさん)も最初は
「ボールなんてないよ。」
と、これまた一言だったが、ジェームズさんが
「そんなことはない。私が取ってこよう。」
とお宅に入って(Haruたちも入れてくれたようだ、このタイミングに私からの携帯がかかってきたらしい)庭を探し回って、ボールを見つけてくれた。
 勿論Taikiは
「I'm sorry! Thank you!」
と、どちらの大人にも言ったそうだ。

 Haruも、やれやれ・・という顔だった。pen0_07

 結果的には、裏に住むお隣さんと顔見知りになれてよかった・・というところだが・・。
Taikiにも、ボールが人の家に入ったら、とにかくそこの家の人に謝りにいくように、という話をした。
困った状況だったら、まず親に話してね・・とも。

 冷や汗&頭を下げる・・男の子をもった親の宿命である。

「TREASURE HUNTING!」への4件のフィードバック

  1. こんばんは〜。
    こりゃまた、大変でしたね〜・・・。
    チョコレート、食べましたか??(笑)
    でもでも、円満解決&顔見知りになれて良かったですね!
    たま〜に、Mariさんのブログ、”手に汗握る展開”になってるようで・・・(笑)
    多くの事を乗り越えて、進んでゆく・・・。
    冒険ファンタジーBlogになりつつあったりして(えへへ、すみません)
    がんばれ!Mariさん!!

  2. 久しぶりに遊びに来ましたー。早いもので来週修学旅行です。去年の自然教室の荷物とは比べものにならないくらい、用意するものが少ないので、かえって気が抜けて全然準備できてないような…。前日に徹夜かなー、どうしようかなー。
    最近のMARIさんのブログにお料理やお菓子の事がよく書いてあるので、“まあ、よくここまでがんばっているのねぇ…うるうる”と、静かに感動している私です(大げさかな?)。
    ところで、海外で紹介される日本料理って、どうして微妙にアレンジされてしまうんでしょうかね?私も以前、料理番組で、“今から、日本のヤキトリという料理を作ります”というので見ていたら、どう見てもバーベキューのような大きな串に鳥のぶつ切りと、これまた大きくカットされた野菜を焚き火みたいな火で焼いているので目が点になりました(これってシシカバブでは?)。醤油を塗る串、塩焼きの串、次は何かと思ったら、ピーナッツバターに香辛料や醤油を混ぜて塗りはじめたので、なんでかなー、と考えたら、ひょっとして味噌のつもりだったのかな、と…。もちろん試してませんが。
    話は全然変わりますが、MARIさんが日本にいない間に日本の総理大臣が変わりましたねー。スシとヤキトリとラーメン以外にも、日本という国をたくさんの国の人に知ってもらえるといいですね。
    ではー。

  3. らむねさんへ
    励ましてくれて、ありがとう!
    話が複雑になるから書かなかったけど、実は昨日は、男の子の(シンプルな)問題行動Part1に加えて、女の子の(感情的な)問題行動Part2が並行して起きていました。
    Aiの友達が家に遊びに来ていたんだけど、そこへ他の子が来て、
    「なぜ私を置いていってしまったの?」(韓国語)
    と、いきなり泣くやらわめくやら・・玄関先でえらい騒ぎ・・。
    いろんな事が起こります・・。人間関係のドラマ、これも冒険にはつきものかもしれません・・。
    さすがに誰一人としてチョコを思い浮かべる余裕もありませんでした。
    後で、Aiが言うには、
    「でも、切り替えが早いっちゃんね。あの子、いきなりニコニコしだして、機嫌が直ってたよ。あんまり気にせんでいいみたいよ。」
    彼女も、経験値をわずかずつ上げていってます。

  4. まいぽさんへ
    修学旅行・・一泊だから何となく気が抜けるような、やっぱりそうではないような・・。
    何といっても『修学旅行』。きっとYちゃんも、すっごく楽しみにしているんだろうね。
    「総理大臣、帰国したら変わってるんだね・・。」と、みんなで話していました。
    今は情報が簡単に手に入る時代なので、こちらでも日本に興味がある人は、知っているようです。
    大学でも少し話題になってたようです。
    Shouも何人かの韓国人に聞かれたと言ってました。
    「タケシマ、タケシマ、言うっちゃんね・・。」(ドキッとします)
    アジアの人たちは、特に関心が強いようです。(願わくば、偏らない報道を!)
    IECではアジアの人たちが多いのですが、この子たちが未来を創るのだ!と思うと仲良くしているのがとても嬉しいです。
    「とにかく誠実に人と関わっていこうね。日本人として、人間として、それが一番大切。」
    という事を言っています。
    そういう意味でも(どういう?)料理は大切。弁当ひとつで国際交流!
    「日本の卵焼き、甘くて好きなんだ。明日はもってこいよ。」
    と友達にせがまれたり、友達が侠気を出して自分でタイ料理を作ってきて、
    「食べてみろよ!」
    とふるまってくれたり・・。
    本当は、経済的に3食作らないと・・という現実があるのですが、時間はあるし、どうせならレッツ、エンジョイ!
    でも、本当に、料理番組を時々見ると、
    (作る前にその国の人に相談したらどうだろうか・・?)
    と思うことが。かなり笑えますね!

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