ワニのケーキ、一切れいかが？

　北朝鮮の核実験報道は、オーストラリアでも大きく報道されている。人々を恐怖に陥れる大騒ぎ。
この国の人達も、大きな憤りを感じている。

　 ニュースといえば、９月に入ってから頻繁に起こるブッシュファイアーも、度々報道されている。
生態系維持のためにも、必ずしも悪いことばかりではないそうだが、時々、民家などが火災に巻き込まれるのが、痛々しい。

　６日、西オーストラリア州では、ハイウエィを後ろ向きに走っている車が、警察に逮捕されるという騒ぎがあった。
車のトランスミッションが壊れたため、バックで走らざるをえなかったとか・・。

　日曜日、『AUSTRALIAN REPTILE PARK』へ行ってきた。　家から車で１時間弱走ったところにあるゴスフォードという町にあった。　

　Parkのゲートで、いきなり巨大なエリマキトカゲがお出迎え。
ここは主に、爬虫類を集めた動物園で、ワニのエリックというのが、ここの目玉キャラクターらしい。
エリックのエサやりが、メインのショーのようだ。

　入場して、何やら人が集まっている所に行ってみると、『Spider Show』があっていた。
危険なクモをビンに入れて、おじさんが、みんなに見せて回っている。
「これは、メスのクモで、触れさえしなければかみつかないから、大丈夫・・。」
見てみると、結構大きくて毛深いクモだった。
　正直言うと、それよりも、係のおじさんが顔のあちこちにピアスをつけていて、鼻ピアス、口ピアス、あと目の横にも・・と、そっちの方ばかりに気を取られてしまった。

　次は、ワニのエリックのエサやりショー。
そこに集まってきた人があまりに多くて、後ろの方では、お父さんに肩車してもらっている子も多い。
Taikiと私は、この混雑にむせてしまって、リタイア。
少し離れたところで座って待つことにした。
「こんな時、言葉がわかるといいのにね・・。話だけでもわかるから・・。」
「うん、でも、わからない話を聞いてるのも面白いよ。
いろんな人達を見ているだけでも、楽しいじゃない・・。」
「たしかに・・。」

　係のおじさんは陽気な人で、仕事とはいえ、楽しそうに、しゃべることしゃべること！
そのうち、エリックの誕生日が近いので、みんなでお祝いの歌を歌いましょう。ということになったらしい。
聞き間違えでなければ、６０歳の誕生日とか・・。
「Happy Birthday to you・・♪」
「さあ、みんなでエリック！って叫ぶんだよ。せーの・・」
「エリック！！！」
「もっと声を大きく！」　
　これはまさに、昔、子どもと一緒に行った、日本の遊園地での、「レンジャーもの」のショーのノリである。
「さあ、赤レンジャーを応援して！みんなの力でエネルギーを送ろうよ！！」

　それはとにかく、子どもたちは叫び、おじさんは、その興奮が絶好調に達した時を見計らって、手に持った肉をエリックに差し出した。
（・・らしい。ここから先はHaruの話によるものだ）
エリックは体長４ｍほどの巨体のワニだが、水の中から写真の位置まで飛び出すのに１秒もかからない素早さであった！
日本にいるときに拳法教室の師範が冗談で言っていると思っていた
「ワニの動作は素早いぞ、首を振る速度は時速１００ｋｍ以上」
という話を思い出したそうだ。
「Wow!」

　迫力である。
とにかく、すごい熱気のあるショーだった。
Taikiも、後半は気分を取り戻して、お兄ちゃんに肩車してもらって、エリックの姿を見て、満足そうだった。

　さて広場の芝生の上でお弁当を食べ、元気を回復して歩き出す。
何やら、テーブルが出て、お姉さんたちが何かを運んできた。
ワニの形の模型？と思っていたら、なんと、ワニ型ケーキ。しかもみんなにふるまってくれるらしい！

　あの緑の着色料は？・・と思いながらも、ありがたくいただいた。
ワニのケーキを食べるなんて、きっと最初で最後のことだろう。
とても甘かったが、結構、おいしかった。

　さて、しばらくParkの中を歩き回る。
は虫類のみならず、コアラ、カンガルー、ウオンバット、ディンゴ、タスマニアデビル、珍しい鳥たち・・たくさんの動物や鳥がいた。

  ワニの顔の入り口があったので、入ってみると、何種類もの爬虫類がケースの中にいた。
部屋の奥に恐ろしげなラー（？）が座っていて、煙を吐きながら、人間たちをにらみつけていた。
ベンチまでもがワニ。

　ワニづくしの一日だった。

　さあ、帰ろうと、公園の駐車場に行ってみたら、エリックのキャラクターの立て札が。

　
　オーストラリアでは、日本のように、何かを、すぐにキャラクターにして売り出したりするのを、あまり見かけない。

　だから、ここで、エリックをキャラクターにして押し出しているのには、意外な感じがしていた。

が、それにしても、この看板には、ものすごく、オーストラリアらしい、くだけたユーモアを感じてしまう。

"See ya"というのは、"See you"の、オーストラリア訛りの言い方。

　いろいろと趣向を凝らした、見応えのあるところだった。