オーストラリアのマックノート氏 (R. H .McNaught) が、2006年8月に発見した彗星(マックノート彗星(C/2006 P1))。
発見時の明るさは17等級と暗い彗星だったが、その後、どんどん太陽に近づき、1月12日19時 (世界時) には、太陽に0.17天文単位にまで近づいて、金星なみに輝いた。
その後、太陽から次第に離れ減光しながら南の空に位置を移している。
現在、南半球では肉眼で見られるということで、日が沈む頃(8時15分頃)、西の地平線と空が見える場所にHaruが連れて行ってくれた。
そこには先客が一家族来ていて、
「ここら辺から、見えるはずよ。」
と教えてくれた。奥さん(スーザン)は、とても気さくな人だった。
刻々と色を変える空。
太陽が沈んで30分程すると、地平線の上に金星が明るく輝きだした。
そして、10分程した時に、その左側に弧を描く白い線が!
「あれじゃない!」
と、みんなで大喜びして、スーザンに言うと、
「あれは、月、新月だから、弧を描いているのよ。」
と、穏やかに教えてくれた。ちょっとエキサイトしすぎていたようだ・・。
それから、又、しばらく暗くなるのを待っていると、なにやら白い光の筋が目に入ってきた・・。
「あ、あそこに!彗星の尾が見えた!!」
今度こそ!・・私たち家族が、又、大騒ぎ。
子どもたちも、初めて見る彗星に、感動している。
「ほら、あそこに!!」
再びスーザンに伝えに行く。
「どこ?今度は飛行機じゃ・・?」
私も慌てて、あら、どこにいっちゃったのかしら・・と探していたら、
「いや、あれがそうだよ。よく見つけたね(Well done!)。」
と、落ち着いたご主人。
本当に、肉眼で彗星が見えている。
スーザンは、私達に立派な双眼鏡を貸してくれた。そして、
「あなたの名前は?私、この星にあなたの名前をつけて呼ぶわ。私の思い出としてね。」
と、何とも優しい一言をかけて、去っていった。
こういう言葉がスッと出てくる、この気持ちの豊かさ・・本当にすごいと思う。
日暮れから徐々に変わる空の色。それだけでも充分美しくて見る価値があったが、長い尾をひく彗星も、息をのむような光景だった。
(上の大きな写真は21時頃。右の写真は20時45分頃、彗星が見え始めた時。
彗星の尾は、最初は月の2倍程の長さだっが、だんだん長くはっきり見えるようになって、21時過ぎには、月の3倍をこえるほどの長さになっていた)