散歩道の風景

kazmidori1r 振り返ってみると、昨年の1月には、日本からオーストラリアへ行くための準備に入っていた。
ビザやパスポートの手配などは今回必要ないとはいえ、Popを日本へ連れて帰るための手続きなど、そろそろ帰国への準備を少しずつ始めなければならない時期に入ってきた。
 とはいえ、こちらでの生活も、1月末から子どもたちの新しいクラスでの新学期(こちらでは新年度)という、もう1つのチャレンジがあるので、帰国準備は、段取り良く、少しずつ、淡々とやっていかなければ。

 このホリデーの期間、子どもたちは、今度こそ、置き去りにしていた日本の勉強をすることにした。
一年分全ての教科の勉強は無理なので、とにかく『漢字』(子どもたちの、一番苦手なもの)を、少しでも覚えておこう、というのが目標。

 こちらの学校からの宿題はないので、英語に関してはどうしようかと考えたが、結局、耳を鍛えるという名目で、なるべくたくさんのDVDを観よう、ということにした。
 言葉はわからなくても、あまり気にしなければ、子ども用のものや、コメディーは楽しめるので、とにかく楽しもうよ!ということにしている。それでも、いくらかは、聞き取りのプラスになるかもしれない。
ならないとしても、楽しい時間が過ごせるのならいいじゃない、という事で。

 こちらの風景にも慣れてきたが、あとわずかの滞在ということになると、又、新鮮に見えてきたりもする。
あたりまえになってきた風景・・あたりまえになってきた、ゆるやかな時間の流れ・・よく味わっておこう。

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買い物の心得

 町には、個人でやっている商店街もあるが、ほとんどの町には、スーパーマーケット、肉屋、八百屋、薬局などが集まったショッピングセンターもあるようだ。
 9ヶ月暮らしていると、生きていくために必要な『物のある場所』が、かなりわかってきた。
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 ショッピングセンターなど、人の多いところでは、店の出入り口に警備員が立っていることがある。
 昨日は、店の中に買い物カゴがなかったので、Shouが一旦店の外へ出て、カゴを探してこようとしたところ、出口で警備員のおばさんに呼び止められてしまった。

 その店に入る前に買い物をしていたので、彼は物の入った袋を持っていた。
その袋に、万引きをした物を入れているのではないか・・と疑われたようだ。
「何にも入れていませんよ。」
と言っても、なかなか信じてもらえない。
「他の店で買ったのなら、レシートがあるはずよね。」
と言う。
残念なことに、たまたまレシートはポイと捨ててしまっていた。
「この店には、今来たばかりで何にも見ていないし・・。」
一生懸命説明して、
「・・。わかったわ。いいでしょう。この次からは、レシートを袋に入れておくのよ。」
と、やっと釈放してもらえた。pen0_19

 この国では「お客様は神様です」なんて発想はないようだ。
犯罪も多い。
 しかも、確かに、彼は、まさに、ちょっと悪いことをしそうな年齢の男の子である。
「買い物を続ける時には、レシートを捨てないで持っておくこと!」 
これも自己防衛のひとつ。大事な教訓だった。 

 そういえば、この間入った店では、買い物袋にレシートを貼り付けていた。
どうしてこんな事をするのだろう?と思っていたが、こういう事があるからかもしれない。

 この前びっくりしたのは、大きなデパートの靴売り場。
半額セールで、ずらりと靴が並んでいるのだが、何かがヘンだ。
・・
 よく見ると、並んでいる靴は、全て右足だけ!
右足の靴をレジに持って行って、両足を揃えてもらうようになっているのだ。
これも、万引き防止策か。
なるほど、右足だけの靴を盗ったとしても、使えない!!

・・改めて感心しながら見てみると、右足の靴ばかりが100足近くも並んだところは、ちょっと壮観だった。

又の名はHARRY・・

sar7r_400  さるすべり(Crape myrtle)の花。

 さて、自転車の話の続き。

 暮れから調子が悪かった自転車。
「10日くらい、預けなきゃ行けないんじゃないの?」
というジンの言葉に、それは困ると躊躇していたが、このまま走るのは危なすぎる。

 幸い、自転車屋さんも2日から開いていたので、Haruが新年早々に修理をお願いしに行った。
「こんなに、修理しなきゃいけない自転車があるんだよ。」
店の主人は、10台ほどもある自転車の山を指さしながらも、
「これなら、明日にできるよ。夕方、取りにおいで。」
と、親切に言ってくれた。

「さて、名前は何?」
「ちょっと長いので、自分で書いていいですか?」
「いやいや、大丈夫。確認できればいいんだよ。何て呼んで欲しいんだい?」
と言われ、とっさに、こちらの人に呼びやすい名前を頭の中で探して、
「えっと・・H・A・R・R・Y、ハリーです。」
と、答えたらしい。

「うーん。なかなか良い名前だね。Ok。ハリー、明日には修理ができてるから安心しな。じゃ。」 sar1r_01

 
ということで、新生ハリーが誕生した。

 ちなみに、修理はきちんとしてくれていたし、頼んでなかったギヤの調整までしてくれていた。
とってもラフだけど親切な自転車屋さんのおかげで、愛車の修理は、予想外にトントン拍子に運んだ。

 感謝を胸に抱きつつ、今日もハリーは、シドニーの風の中を走っていくのであった。

☆B・I・K・E☆

byc1r_01 大学のボスが貸してくださっている自転車(この国ではbikeと言うようだ)。
 Haruは、毎日これに乗って学校へ通っている。

 結構起伏のある土地なので、最初は息があがって、一時間近くかかっていたが、かれこれ8ヶ月にもなるのと、だんだんタイムが縮まってきて、30分をきるようになってきた。
 バスで行くこともできるのだが、バスは遅れて来る事もあるので、待ち時間も入れて考えると、自転車の方が効率が良い。
 健康的にもいいし、何より、道を走りながら、花の香りに気づいて、ちょっと立ち止まったり、風景を感じながら走れるのが楽しいようだ。

そういえば、こちらでは、まだ俗に言う『ママチャリ』を見たことがない。
あるのかもしれないが、マウンテンバイクが圧倒的に多いのは確かだ。

bicy2r 規則で、自転車に乗る人は、ヘルメットをかぶることになっている。
流線型のカッコイイ形のものが多い。

 ただ、たまに、キャップや麦わら帽子の上に、このヘルメットをかぶって走っている人がいるのに、びっくりする事もある。

 
 こちらでは、自転車は車道を走る規則。
で、歩道を走っていると、
「ここを走っちゃ、危ないじゃないのよ!!」
と、歩いているおばさんに手を振り上げて怒られたりする。
かといって、車道を走るのは、命がけだ。
 おばさんに怒られても命に別状はないが、車道で車にひかれるのはごめんだ。
ということで、あまりに交通量の多い所は、あえて、怒られる方を選んで歩道を走っているようだ。

 この国の人たちは、列をなしているレジで長話している人に対しても、怒ることもなく、ただ黙ってじっと待っていたりする。
とても気が長い印象を受けることが多いのだが、こと、運転となると、人が変わってしまうようなのだ。
 車道を走る車のスピードは、とても速い。そして、クラクションを鳴らす人もとても多い。
自転車で走っていると、いきなり、後ろから、
「**!****!」
大声で怒鳴られることもある。
はたまたヤジを飛ばされることもある。
「どっちにしろ、あんな早口のスラングなんて聞き取れないし、もう聞き流しているよ。」
ということだ。
下手して相手をしてしまうと、恐ろしいことになりかねない。

 以前、車で走っていたら、どうやら仕事仲間らしい人たちが2台の車に乗って横を走っていた。
信号待ちしていた時に、後ろの車の人が、窓から顔を出して、前の車に大声でちょっかいをかけ始めた。
ちょっと色の浅黒い、二の腕にタトゥーをした若者だ。
すると、信号が変わったとたん、
「ドン!!」
と、前の車はバックして、後ろの車にぶつかってきたではないか。
 驚いたのは、それでも、まだ笑っている後ろの車の運転手。
「捕まえてみろよ、ヘーーン!!」
みたいな事を言いながら、前の車にちょっとぶつかって、脇へ逸れ、全力失踪を始めた。

 間近で見ている私は、ただただ唖然とするばかり。
ただ無事に家に着くことだけを願って走ったことだった。

楽園の花♪

 お正月の三が日などというものは、この国の風習にはないようだ。
(中国の人たちの新年のお祭りというのは、盛大に行われるようだが、それは2月に入ってからだ。)

 1月1日は祝日だが、1月2日から、平常通り店も営業している。
サマーホリデーということで、一月いっぱいは若干物事がゆるやかに進んでいく、という話だが、いつもとさして変わりも感じられない。
 新年だから「さあ、気分一新!」と、意気込んだ様子も、あまり見あたらない。
あたりには、クリスマスの飾り付けも、まだまだあちこちに残っていて、宣伝には、
『Post christmas Sale!』
などというキャッチフレーズもあったりする。

 暑いというほどの気温ではないが、良い陽気。
のどかな一年の幕開けだ。

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 暖かくなってから、よく見かける美しい花。
 手のひらほどもある大きな花で、赤から薄いピンク、黄色など、花の色がいろいろある。
(ハイビスカス?でも、こんなに大きな木になるのかな?)
と思って調べてみると、やっぱりそのようだ。

 なんとハイビスカスには、5000もの種類があるらしい。
オーストラリアに咲くのは・・と、インターネットを見ていると、なんだか賑やかなサイトがあった。
その名も『HIBISCUS PARADISE』。
見たこともないような、ハイビスカスの花の写真が、ずらりと並んでいる。
「この花、一体、誰が、デザインしたの?」
・・そう思ってしまうような個性的な花々。
色、形、花びらの風合い、どれも違っていて、個性豊かだ。
グラデーションの美しい花、華麗なフリル付きの花・・。
どちらかというとパッチリとした、鮮やかな花が多いが、中には少しすっきりとしたタイプもある。
華麗な印象をもっていたハイビスカスの花だが、優しげな、淡い色合いのものもある。
こんな花たちが咲き誇っている庭は、文字通り、楽園のような美しさだろう、

http://www.hibiscusparadise.com.au/images/HibiscusSelection001.html

Chopsticks De Knitting♪

 去年の暮れに手芸屋さんで見つけた、白とブルーのフワフワの毛糸。
Aiが編み物をしたいというので、買って帰った。
・・が、かぎ針編みの棒は日本から持ってきていたのだが、棒針編みの編み棒が無いことに、後で気づいた。

 店も閉まってしまい、編み棒を手に入れるには数日かかりそうだ。

 いつもなら少しくらい待つところだが、なぜか、
「マフラーを棒針で編みたい!!」
という強烈な意欲に駆られた彼女。

「お箸でやろうかな?」
と、ポツリと言う。
そこで私が、
「菜箸なんて、編み棒とそっくりだよね!いいっちゃない?」
と、これまた無責任な発言をする。

 ・・しばらくして様子を見てみると、本当に、彼女は菜箸でマフラーを編みだしていた。
「結構いいかも・・。」
と、まんざらでもなさそうだ。
 太さがあるので、目が粗くなるが、逆にふんわりとした良い感じになっている。
片方は、ちょっと湾曲している菜箸だが、そんなことはたいした問題ではない。

  菜箸で編み物をする少女のいる風景は、多少違和感を感じるが、まちがいさがしのようなもので、ふと見ただけでは気づかない程度のギャップだ。
作りたい!という気持ちに勢いがあったので、あっという間に完成してしまった。

「きっと、これは思い出のマフラーになるね。」
と、話している。
 マフラーもさることながら、自分の持ち分でない仕事を見事にやり遂げてくれた、この菜箸も、思い出の菜箸になることだろう。
普段、何気なく使っているが、なんだかもう、「亀*の柿の種」の小袋の裏側に書いてある、けなげ組の仲間に入れてもらってもよさそうな、健気さを感じてしまう。
一言お礼を言って、又、持ち場に戻ってもらうことに。

 シドニーで、菜箸で編んだマフラー・・忘れられない思い出になることは、間違いない。keitor

 

 

 

 

 

 

 

*作成途中の図。

☆A Diamond Night in Emerald City☆

  シドニーのニューイヤーズイヴといえば、ハーバーブリッジの壮大な打ち上げ花火で有名だ。
夜9時にファミリー向けの花火、そして真夜中に、盛大な花火があがる。
昨年のテーマは『a city of Great Heart』
そして今年は『A Diamond Night in Emerald City』.

  1932年3月に開通したハーバーブリッジが2007年に75周年を迎えるという事で、『ダイヤモンド』らしい。
 『Emerald City』 というのは、『オズの魔法使い』に出てくる都だ。

 『オズの魔法使い』の話は、簡単に略してしまうと、愛、知恵、勇気、それを探している仲間と共にドロシーという女の子が旅を続ける。探しているものは、オズという魔法使いが授けてくれると信じてエメラルドシティーまで行くのだが、結局はそれぞれ、探していた物は、自分の中にあったということに気づく、というような内容だ。

 この話は有名な映画にもなっているのだが、その中に
‘there's no place like home.'
という大切なテーマがある。
オズの国という、いくら素晴らしい場所にいても、ドロシーは、家に帰りたいと望み続ける。
そして彼女のセリフにあるのが、
「我が家ほど良いところはないわ。」
という、この印象的なフレーズである。 

 さて、夜9時になった。今か今かと待ち受ける人々の目に最初に映ったのは、ハーバーブリッジの真ん中に光る赤いハンガー。
(ハーバーブリッジには、その形からcoat-hangerというニックネームがある。)
そして花火。息もつかせぬ迫力だ。
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