英会話教室で出会った方に、
「日曜日、日本人学校のフェスタ(お祭り)があるから、よかったら来ませんか?」
と誘っていただいた。
日本人学校、行ってみたこともなかったので、どんな所だろうかという興味もあって、出かけてみた。
シドニーの中心部から、かなり北に行ったTerrey Hillsという町にある。
そこは近くに乗馬場などがある、自然の美しい、のどかな場所だった。
きれいな校舎に、きちんとトラックが描いてある広い校庭。
教室も明るく、掲示物なども美しくされている。
日本語での授業の他に、英語の授業もあるようで、こちらならではの教育を・・と、色々と工夫がなされている感じがした。
あいにくの雨で、遊園地にあるような乗り物や、大きな滑り台などが来ていたのに、使えないものもあって残念だった。
が、人出は結構あって、出店(PTAの方々のご努力だろう。たくさんのお店が出ていた)は教室の中や、屋根のある廊下にあったので、結構繁盛しているようだった。
古本(日本語の物中心)や、古着、雑貨などが、ずいぶん安く出ていた。
屋台も出て、焼き鳥、タコ焼き、お好み焼き、回転焼き、お弁当、 などなど売られていた。
NHKの方が、
「どうぞ、これを・・。」
と、NHKの受信できるアンテナの宣伝のパンフレットと、粗品のペンを渡してくれた。
「布や、金属にまで書けるボールペンだ!さすが・・。」
と、懐かしさもあって、なんだか感動してしまった・・。
子どもたちは、くじを買って、もらった袋の中に『遊戯王カード』や、小さなお弁当箱の形の消しゴムなどが入っていたので、とても喜んでいた。
体育館の中では『太鼓の和』というグループの和太鼓の演奏があった。
メンバーは体格の良い、こちらの人達が多く、『和』のリズムを多分日本の方が指導されていたようだが、力強い、迫力のある演奏だった。
聞こえてくる言葉は、ほとんど日本語。ほっとする世界。
だが、先生方、家族の方、その他、いろいろな関係のオーストラリア人の方もたくさんいらっしゃるようだ。
「日本語が通じるっていいよね・・。やっぱりここがよかったかな?」
と聞くと、うちの子どもたちは、
「オレらは、今行っている学校の方がいい!他の国の人達とも、たくさん知り合えたし。」
との答え。親としても、始めから何をとって、何をあきらめるか・・が、はっきりしているので、学校選びに関しては、後悔することはない。
が、ここはここで、保護者のネットワークがしっかりしていて、安心して助け合える良さがあったり、バックグラウンドが大きかったり、日本へ帰ってからの勉強の面を考えても、良い面がたくさんあるのだな・・と、改めて思った。
先週英会話の教室に行った時、学校の入り口に、一歳の女の子をベビーカーに乗せたお母さんがいた。
彼女は、手芸のクラスに通っているのだが、教室に入ると、女の子が泣き出すので、困り果てていた。
ちょうど人見知りの時期なのだろう。毎回、クラスに行っても結局、子どもをあやして終わってしまう、という話だった。
小さな子連れの時期を思い起こすと、店に行っても、突然子どもが泣き出しては外に出たり・・いろいろな事があったものだ。
たまに気晴らしに外に・・と思っても、気晴らしにならない事態に陥ることもあって、やっぱり家に帰ることにしたり・・。
自分の国にいても、あれこれとストレスがたまる時期、こちらで、この状態だと、買い物ひとつするにも、さぞかし大変だろう・・。
しかも、
「上の子は小学3年生で、学校までの送り迎えに30分かかるんです。」
という話だった。
結局、その日彼女はクラスに行くのを諦めて、帰ってしまった。
仕方ないといえば、そうなのだが、(大丈夫かな・・)と、ちょっと気になっていた。
その彼女がここにいて、売店でニコニコして働いていた。
(なるほど、ここで、他の日本人のお母さんたちと知り合い、情報を交換し、助け合うことができているんだ・・。)
と、生き生きした彼女を見て、なんだかとても安心した。