Smileで賞♪

 朝、Taikiが持ってきたプリントを見てみると、
「月曜日にクラスの保護者の方々はどうぞお越し下さい。お仕事をお持ちの方が多いと思いますので、無理はされなくて結構です。」
と書いてある。月曜というと、今日ではないか!・・だが、何をしに行くのかがわからない。 
 なぜかというと、ひとえに言葉の問題。『Assembly』 とか『item』と書いてあるのだが、その意味がつかめないのだ。何かのitemをみんなで組み立てるのだろうか?・・だとしたら材料は何?一体何を持って行けばよいのか??だらけである。

 行事にはなるべく参加した方がいいし、できる事は何でもした方がいいとは思うのだが、気持ちの準備ができずに、ヨイショ!と腰を上げるのにイマイチ勇気が出ない事もある。

 その時思い浮かんだSさん!そうだ、こちらで子育てをしてきた経験があるから、きっと教えてくれる!電話をすると・・。
「Assemblyっていうのは集会で、歌やダンスの発表なんかがあるのじゃないかしら。」
親はただ見学すればよいらしい。♪ そうだったんだ!難しいことは何もないようだ。Assemblyという言葉には、組み立てるというのと別に、集会、という意味があるらしい。

 海外に来て子育てをする時、日本語で教えてくれる人がいなかったら、必要以上に悩んだり考え込んだりする事は、たくさんある気がする。Sさんの一言に助けられて、やっと学校に行く勇気が出てきた。感謝である!!

 その時間になって学校に行ってみると、子どもたちが校庭のステージのある場所に椅子を持って次々と集まってきている。
いわゆる全校集会だ。見に来ている親はというと、10人いるかいないか。 

 まず司会をする子どもたちが何人かで、挨拶をする。それからみんな起立して、校歌を歌う。
その後、今週がんばった子どもや、成績のよかった子どもの表彰が行われる。その子のどういうところが良かったのか、みんなの前で紹介してもらって賞状をもらう。
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 と、驚いた事に、なんとTaikiの名前が呼ばれた。よくはわからなかったのだが、どうも内容は
「彼は、英語がまだよくわからないのですが、決してあきらめたり、くよくよしたりせず、とても前向きに努力しています。」
そういう事のようだった。 

 この学校に入る時、校長先生は、英語がほとんど全くわからないのに普通クラスに入ることについて
「彼にとっては、しばらくかなりハードな日々になることでしょう。」
と おっしゃっていたし、本当にそうだったと思う。学校にとっても特別な先生の手配など、ご迷惑もかけている。が、この学校の先生方は『何ができます』という 能力だけではなく、『どういうふうにやっているのか』を見てそこを評価してくれているのだという事がわかって、とても嬉しかった。
 だからこそ、彼は楽しくがんばっているのだと思う。

 この表彰は、成績が優秀だった、という子は勿論だが、
「この子は、年下の面倒をいつも見ています。その優しさはすばらしい。」
とか、
「彼は、どんな事にも、前向きにチャレンジしていっています。そしてこのすばらしい笑顔!」
そんな紹介もあった。

 印象的だった事のひとつに『smile』(笑顔)という言葉がたくさん使われていて、笑顔を褒められている子が多いことだった。これはどうも大切なポイントのようだ。
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  その後にTaikiのクラスの短い劇があった。なるほど、これが先生のおっしゃる『Item』だったわけである。 「あるところに一人だけ緑の髪の女の子 がいて、その髪の毛をみんなは笑っていた。でも、ある時もう一人別の色をした髪の毛の子がやってきた。今度は紫、次に虹色、次に・・。色々違いはあるけれ ど、ひとりひとり素晴らしい個性をもっている。違いを笑ったりしないで、違いを認め合いながら、友達を大切にしましょう。」 
そんな劇だった。そして手をつないで順番に頭を下げていってウエーブ!

 その後
「みなさん、起立して、誇り高く歌いましょう!」
との呼びかけで、最後に国家の斉唱。で集会は終わった。

 さてTaiki。家に帰ってすぐさまニコニコして来るかと思いきや、いつもと違って一向にみんなのところに来ない。呼びに行ったらどうも泣いていたふしがある。
 話を聞いてみると、帰る時にクラスに賞状を置いてきてしまったので、取りに行ったのだが、先生に
「忘れ物をしたのでクラスルームの鍵を開けてください。」
というその言い方がわからなくて、伝えきれなかったらしい。
せっかくもらった賞状を家族に見せたかったので、それがとてもくやしかったようだ。
 なるほど、そんな思いをすることがたくさんあるのだろう。なぜ賞状をもらったのかも自分ではよくわかっていなかったようだ。
 今日もらった賞状は、こんなふうな思いをしてたくさん慌てたり、悲しくて泣いたりしても、涙をふいて、又、笑顔でやっていっている、そんなTaikiの事を、みんな、わかってくれているよ。そして、これからもがんばろうね!という励ましの賞状なんだと、そう説明した。
(今日は先生方の思いや状況も私が見ていたので家族に説明できたし、見に行ってみて本当によかった。)  
 兄や姉にも「がんばっとうやん!」と喜んでもらって、段々元気を取り戻していくTaikiだった。 

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