新芽の季節

あちらこちらで卒業式があるこの季節、別れの曲が巷でよく流れていて、思わず切なくなることがある。

別れるって時に、初めてその存在の大きさに気づく・・そんな事も多いような。

『おぼえていろよ おおきな木』(さのようこ 作/銀河社 出版)は、ひとりのおじさんと大きな木のお話 :crchon:

おじさんの家は、大きな木のかげにあるのですが、木のことでおじさんはイライラしています。なぜって朝ゆっくり寝ていたくても、木に集まってくる小鳥のさえずりがうるさくて眠れないし、木の陰になって洗濯物もパリッと乾きません。腹が立つことはまだまだあります。夏にハンモックをかけて寝ていると毛虫がくるし、寒くなる季節には、掃いても掃いても落ち葉が落ちてくるし・・。

「おぼえていろ!!おぼえていろ!!」

おじさんは おおきな木を 切り倒してしまいました。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

それから、おじさんは朝、小鳥の声に目覚めることもなくなりました。洗濯物を干すロープをかけていた枝もなくなりました。ハンモックで寝ようにも、ぶらさげる木がないし、ほうきがあっても、もう木の葉はありません。

おじさんは、きりかぶをみて、それから うえの ほうを みました。

そらが あるだけでした。

ある日、おじさんは大きな切り株を見て、たまらなくなりました。そして、大きな声で、泣きつづけました。

おじさんは なきやんでも、まだずっと したを みていました。

よくみると、きりかぶから ちいさな あおいめが でていました。

おじさんは かおを くっつけて、まちがいではないかと、よくみました。

やっぱり あたらしいめでした。

そして・・。

(*青字の部分は本からの引用です)

 

「新芽の季節」への2件のフィードバック

  1. こんばんは。
    私にも、似たような思い出が・・・。
    一昨年、我が家にある何本の”さざんか”の木に毛虫がたくさんついてしまって、手入れをしたら毒毛にかぶれて2週間の病院通い。
    こんな思いは二度と嫌だ!!と根元から全部切ってしまいました。
    でも、その山茶花のおかげで強風が遮られていた事、夏の強い日差しが和らいでいたこと、何よりキレイな花を見せてくれていたこと・・・。
    後悔していた頃に、新しい芽が出てきました。
    今は、うまく付き合える程度に枝を整理しながら、育てています。
    春は出会いと別れの季節。
    せつない季節でもありますね。

  2. 一期一会
    せつない季節・・ほんとうにそうですね。
    『一期一会』そんな言葉を肝に銘じるこの頃。
    さのようこさんの絵本や詩は、「そうだよね。」と共感したり「ドキン!」とするような感動があったりで、印象深く、忘れられないものが多くて、ふと何かの拍子に思い出します。
    『百万回生きたねこ』は有名だけど、新しい傘を手に、汚したくないから雨の中開かずに持っていくおじさんの話(『おじさんのかさ』)とか大好きです。

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