2022年04月07日(木)~09(土)
天候:晴
参加者:林、石橋、平田正義
走行距離:990km
記録:平田正義
(行動記録)
1日目 7日(木) 5時50分~18時10分 420km 福岡市 → 串木野港、甑島ツーリング
福岡 → 都市高速 → 大宰府IC → 基山SA(6時30分)→ 鹿児島IC → 市来IC
→ 串木野港フェリー乗場(11時20分) → 甑島里港(12時35分)→ 甑島ツーリング →
ホテル(18時10分)
(上甑島) 里麓武家屋敷跡 → トンボロ展望所(14時) → 長目の浜展望所 → 田之尻展望所 → なまこ池→ 甑大明神橋 → 鹿の子大橋(15時) →鹿の子大橋展望所
(中甑島) 帽子山展望所 → 木の口展望所(15時30分)
(下甑島) 甑大橋(16時) →鳥の巣山展望所 → 夜萩山展望所 → 里港 ホテル
2日目 8日(金) 8時~18時40分 190km 甑島ツーリング →串木野港 → 出水駅
(上甑島) ホテル(8時) → 甑大明神橋 → 鹿の子大橋
(下甑島) 甑大橋 →八尻展望所 →瀬尾観音三滝 →前の平展望所(ナポレオン岩) → 手打麓武家屋敷通り → 釣掛埼灯台 → 長浜港フェリー(14時35分) →串木野港(16時15分)→ R3 → R328 →出水ツル観察センター →出水駅ホテル(18時40分)
3日目 9日(土) 7時~17時30分 380km 出水駅 → 長島、天草、松橋IC→ 福岡
出水駅(7時) → 蔵之元港(9時) →牛深港(9時30分) → 崎津教会 →
大江天主堂 → 富岡城址 → 本渡 → 三角港 →松橋IC → 広川SA → 大宰府IC → 都市高速 → 野方(17時30分)
総工費320億、橋脚部だけで230億の巨費をかけ2020年8月に完成した甑大橋。30年前は上甑島、中甑島を繋ぐ橋も無く、絶海の離島群的存在だった甑島が橋で全て繋がった。甑大橋は1,533mと鹿児島県内で一番長い橋、工期は14年掛かったとの事で、東シナ海の冬の季節風下では海上作業は難しく、難工事だったことが伺える。橋に接続する道路も併せ5.1km、長めのトンネル3本、離島での工事は本土に較べコストもかかり一大プロジェクトだったに違いない。
ここで少し甑島豆知識、薩摩半島から西に約30kmの洋上にあり、平成27年度の国勢調査によると人口は上甑島2,174人、中甑島224人、下甑島2,321人となっている。上甑の里集落から下甑の手入集落までバイクで1時間程、距離は40km程度か。信号機は確認できたところでは上甑に2台、下甑に1台あり、信号で捌くほど交通量は多くないので、子供たちへの教育施設的な意味合いで設置されているようだ。とにかく自然好き、海好き、魚好き、祭り好き、地層・地形好き、離島好き、橋好きの方にはお勧めの島だ。
出発日7日(木)の最低気温10℃、日の出前に自宅を出発し、基山SAに6時30分集合とした。九州自動車道をメインに320kmを4時間30分の予定で串木野港に向かう。甑島までのフェリーの乗船手続きは出航1時間前までとなっていて、ナビシミュレーションではギリギリの到着時刻。それでもノンストップ走行は厳しく、給油も必要なことから北熊本SA、宮原SA、桜島SAで休憩を取る。平日のまだ早い時間帯に相当するのに、もう高速はトラック軍団がひしめき、交わしても交わしてもその先にはまたトラックの車列ばかり。日本の物流を支えている現実を目の当たりにした。それにしても走ると風が冷たく、厳冬モードの服装で構えたのだが入り込む隙間風にさらされ続け、体温は下がるばかり。休憩する高速SAでは少しでも寒さから逃げるために体を動かしウォームアップを試みる。この3日間の日中最高気温は4月上旬としては珍しく25℃を超える見込みで、その温度上昇が待ち遠しかったが、10時頃の桜島SAでほんのり暖まってきた。
串木野港の入り口で最後の給油をし、乗場到着10時40分となった。乗船の車列ができてはいたがバイクは我々の3台のみ。直ちに乗船手続きを済ませ出航まで待機する。40台を超える車が積載可能でほぼ満車、バイクは横の通路に停めロープで固定される。里港まで1時間15分の船旅、3階デッキで潮風を感じながらこれからのスケジュールを確認しつつ、東シナ海は波も静かで揺れを感じる事もなく快適な船旅。遠くには川内原発や天草も眺められ、離島とはいいながらその距離感の近さを感じた。
12時35分定刻通り着岸、昼食を摂るために直ちに移動し、港から2分の漁師直営店”海聖丸”で定食を注文。アジフライをメインに、一味唐辛子付の朝取りきびなご刺とアラ味噌汁。夜も来たいところだが、色んなお店の魚も楽しみたいと思ったのが裏目に出た。夜食事をした”甑におかえり”では漁に出られず魚が入っていないと、冷凍のタカエビが唯一の海産物となった。
昼食後いよいよ甑島ツーリングの始まり、鎌倉時代から起源をもつ里麓武家屋敷跡へ向かう。特徴として道路と屋敷の境界は30cm程の楕円状の石積みで、道幅は左程広くはないが直線で数百メートル続く。生垣も整えられた見事な通りには武家屋敷は1件も残っておらず、ただ整然と並んだ石垣塀に感心しながら走り抜ける。傍の小高い丘の上には亀城跡もあったが回る所が多いので立ち寄らず、入口のガジュマルの大木下にある無人販売の20cm級の大玉葱に感嘆する。
観光案内によると甑島トンボロは「沿岸流と波の作用で海底の砂れきが水面上に現れた細長い地形をトンボロ(陸繋砂州)と呼びます。全長は南北に約1,500m、最大幅1,000m。この島と島をつなぐユニークな陸地の上に集落ができ、里町の中心になっています。」で、国内では函館と共に珍しい地形。そのトンボロ展望所に向かう山道は狭く、その後に回る各展望所へのルートが心配される。展望所は特に整備された場所ではなく、適当に道の途中で立ち止まって見てねといった場所で、里集落全体がトンボロ地形上に展開されているのが俯瞰できた。
島内では県道348、349、351、352号が3島を結ぶ幹線道路で、その他展望所に繋がる道は曲がりくねった山道だった。県道の幹線を含め、走っている車両は数えられる程度で、ツーリングロードとしては申し分ない。時折海を見渡し、山々を縫い、離散した集落を結び、何色もの断崖地層がむき出し、目的の海上道路ありと変化に富み、島ならではのツーリングを堪能する。
島内には〇〇展望所と名の付く場所が10個所ほどあり、夕方まで主だったところを目的に移動する。以下7日(土)に回った主な所について概述する。
長目の浜展望所 なまこ池・貝池・鍬先池の大小3つの池と海を隔てる4km続く砂州を遠望
田之尻展望所 長目の浜の北西側に位置し、向こう岸から見返す風景となりトンボロも見通せる。
なまこ池 砂州で海と接するなまこ池まで車道が整備され、武家屋敷石垣に使用されている玉石だらけの海岸まで行ける。なまこ池は舐めて汽水であることを確認。
甑大明神橋 上甑と中島を結ぶ420mのワイヤーを生かした橋、上甑側には甑(せいろのこと)の形をした甑大明神の赤い鳥居とご神体が祭られる
鹿の子大橋 中甑と中島を結ぶ240mのアーチ橋、ローマ時代の水道橋を想起させる
帽子山展望所 中島の平良集落と上甑島が見渡せる
木の口展望所 甑大橋のビュースポットだが、標高が高く橋までの距離がありすぎ迫力に欠ける
甑大橋 中甑と下甑を結ぶ海上にかかる絶景の橋、作った人々の苦労が偲ばれる。余りの交通量の少なさに路肩にバイクを停め、透明度の高い海の青さと記念撮影に大満足
鳥ノ巣山展望所 甑大橋のお勧めNo1ビュースポット、7月・8月には白と赤ピンクのかわいらしい鹿の子ゆりが咲く群落あり、観光パンフ写真の定番スポット
夜萩円山展望所 8,000万年前の地層が隆起した海にそそり立つ断崖、地質に興味ある方は必見
7日は18時30分にチェックインすべく観光ツーリングは以上で打ち止め、上甑の里港にある島唯一の6階建ホテルへ引き返す。近場居酒屋での夕食は肉中心のつまみと食事となり、〆は親子丼でバッチリ。
8日(金)は甑島2日目の観光ツーリングの続き。先ずはそれぞれに特徴のある3つの橋を満喫しつつ南下、下甑の八尻展望所へ向かう。8時台の移動という事もあり、通勤や現場へ向かう車とすれ違う事もあったが、パトカーも含め15台はいかなかった!なんと走りやすい県道なことか、アップダウンはもちろんコーナリングありの満点道路を、海や断崖を眺めながら3台のバイクは走り抜ける。福岡より季節は先取りし、山々は新緑に溢れていた。集落の家庭菜園の夏野菜の成長も早く、つつじも見ごろのものが多々あった。八尻展望所からは甑大橋と下甑島北西の海岸線の断崖も遠望できた。
続いて瀬尾集落にある瀬尾観音三滝へと向かう。海から数百mの場所に1枚岩の三滝が連なり、一番上流の滝からの落差は55m程、遠くからでもその美しさと大きさに圧倒される。凡人の霊感はときめなかったがパワースポットでもあるらしい。バンガローも併設され夏場のキャンプ場として賑わう所。
海上に立つナポレオン岩へは下甑島を東西に横断する峠道ルートで瀬々野浦集落へ向かうが、こちらも中々の狭道ではあるが道を作った人に感謝。瀬々野浦漁港からはナポレオン岩とろうそく岩を一望することが出来る。眺めていたら散歩中の老人から気さくに声を掛けられ、よう来らっしゃった、何もないところへと歓迎された。海上に100m以上そそり立つナポレオン岩は遠くから眺めても迫力満点、船上からだともっとその大きさを実感でき、名にふさわしい形に見えるようだ。
帰路は前の平展望所経由で手打麓武家屋敷通りへ向かう。起源は里麓武家屋敷周辺を治めていた領主が、手打集落へ領地替えされ、新たに武家屋敷を造ったようだ。こちらも楕円状の石積みのみが残り歴史情緒たっぷりだが、旧家屋は見当たらない。屋敷通りの真ん中にバイクを停め写真撮影中、散歩のおばあさんから何処から来たかと声を掛けられる。離島は本当に気さくな住人が多いようだ。釣掛埼灯台は下甑最南端に位置し、東シナ海越しに薩摩半島等見渡せる絶景地だと思われるが、この日天気は良くても霞が掛り水平線もはっきりしない。日の入りビュースポットでもある。灯台のすぐ傍にあるキリシタン殉教地の碑を見て、食事処のてうちん浜やへ向け山道を下る。
手打集落がある手打浜は甑島では珍しい砂浜が続き、釣りバカ日誌のロケ地にもなった。てうちん浜やには残念ながら海鮮系のメニューはなく、揚げ物中心の食事となった。長浜港からの乗船時間は14時35分、向かうには早すぎることから手打集落内の下甑郷土館に立ち寄ることに。館長と思しき方から丁寧に展示物、甑島の自然、歴史、学校事情等の説明を受け甑島の概要を知る。
長浜港には乗船1時間前には着き、手続き後港周辺を散策したり、椅子に座ってまったりとした島時間を過ごす。長浜港から串木野港への乗船は1時間40分、穏やかな航海に船内でくつろぎ旅を満喫。海上からは薩摩半島の野間岳も朧気ながら見えていた。定刻に串木野港で下船し、暫く市街地のR3を通り、出水市へのショートカットでR328へ入る。R328は農村部と山間の峠を越えるルートで、ツーリングコースとしては面白い。300番台の国道にしては道幅もまあまあ、カーブもそれ程きつくなかったが、17時台に山陰に入るとヒンヤリとしてきた。翌日のフェリー時間を考慮し出水駅前のホテルに入る前に出水ツル観察センターへ立ち寄る事にする。出水市に入ってから観察センターまでの道中、車の正面衝突による交通規制があったり、ツルが飛来する干拓地まで結構距離が有り、到着したのは18時を過ぎていた。北帰行が終わるこの時期ツルは残っていないとあきらめていたが、茶色がかったマナ鶴の幼鳥?が10数羽田んぼで食事中だった、ラッキー!
出水駅前ホテルに到着後、19時を過ぎて近くの居酒屋”魚松”で夕食。ここでは長島のブリ、鯛、きびなご等の念願の海の幸盛りを賞味出来た。ここでの〆は親子うどんでこの日も満喫。
翌日9日(土)は牛深港へ渡る蔵之元港のフェリー時間に合わせ朝食6時、出発7時と早立ちする。午前9時のフェリーに乗りたいが混雑状況が分からず、早めの行動となった。出水市街地から真西に向かって無料の自動車道が利用でき、結果的に8時には港へ着き乗船待ち1番乗りだった。出航した長島は大きな島で古墳、夕日スポット、海峡渦潮、海産物、ジャガイモ等が有名のようで機会が有ればゆっくり再訪してみたい。道路脇にはどこまで行ってもつわぶきが繁茂し、黄色の花が咲くころは見ごたえ十分だろう。また段々畑のジャガイモが収穫時期を迎えていた。蔵之元港から牛深港までは30分間のフェリー旅、内水面の様な穏やかな海を渡っていく。福岡でいえば博多湾横断といったところか。
下船後、牛深港に架かる独特なデザインの牛深ハイヤ大橋を渡り、南側に位置する下須島まで足を延ばすが、事前のリサーチもなくただ渡っただけ感の訪島となる。牛深ハイヤ大橋を戻り、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の構成遺産である崎津教会へR266経由で向かう。以前見たテレビ番組では教会内には入れなかったが、今回はしっかり室内の見学もでき良かった。
続いて丘陵地に建つ白亜の大江天主堂へと向かう。日差しも出て来た11時頃になると冬モードの服装では汗ばみ、衣服の調整をしながらの見学となる。途中、早場米の田植えが済んだ水田を結構見かけるようになる。
さらに北上したR389は天草下島の西岸、東シナ海に面し海の景色を楽しみながらツーリングする事が出来る。サンセットロードとネーミングしたいところだが長崎県に先を越された?名無しの権兵衛のようだ。
富岡城址は20年以上前に訪ねたときは石垣しかなかったが、2005年に富岡ビジターセンターを含め石垣も復元修復したとの事、築城は1605年。その後拡張建て増しを行い、天草統治の要塞としての役目を持ち、特に砂州で一方向しか陸地と繋がっていないので、天草一機でも落城していない。
城址を出発したのは12時過ぎで食事処を探しつつ本渡方面へ向かい、結局食事は5号橋の松島温泉近くの鮮魚店を併設する”満海”へ。あら炊き定食を注文する。鯛のお頭が2尾半分もあり、身をほじるのが大変だったがあら味噌汁、茶わん蒸しも付いて魚料理を満喫する。
松橋ICへは三角港経由R266を選択し、最後の海岸道路を堪能することに。この国道沿いには南斜面で海に面する愛媛の海岸線同様柑橘類の栽培が盛んで、柑橘用ビニールハウスも多くみられる。道の駅ではデコポン、パール柑、甘夏等が大量に出回っていた。
4月2日から始まった二輪車定率割引(ETC専用、土日祝、100km以上利用)を利用する為事前登録を行った。利用料金が37.5%引きとなり二輪車にやさしい制度。11月までの試験導入の様だが本格導入を期待したい。北熊本SAで税込み182円のガソリンを給油し、広川SAで最後の休憩をとって帰福した。3日間で990km、久しぶりの長距離ツーリングとなったが、その半分は高速利用なので疲労感は左程感じられなかった。
今回は田崎さんから提供いただいたインカムで先頭・最後尾で連絡が取れ、一々停止することもなく行先の相談、食事の相談等々、また距離が離れても安心して走ることが出来た。感謝します。
今回は宿泊ツーリング計画が思わぬ展開で催行でき、また天気・気候にも恵まれ非常にラッキーでした。これからも思いつきでお誘いするかもしれませんが、タイミングが合う方はよろしくお願いします。