♧『かしこいビル』
(ウィリアム・ニコルソン 作 / まつおかきょうこ・よしだしんいち 訳 ペンギン社)
おばさんから家に招待されたメリーは、旅の荷造りを始めます。
持って行かなくてはならない物は、たくさん。
オモチャの馬、手袋、ティーポット・・。
もちろん、大好きな兵隊さんの人形ビルも、絶対置いてはいけません。
全部入れようとしても、なかなかトランクに入りきれないので、ああやってみたり、こうやってみたり・・・。
そうこうしているうちに、とうとう出発の時間になってしまいました。
あわてて出発して、気づいてみたら、なんと!
!!!
メリーは、ビルを入れ忘れてしまっていたのです。
置いて行かれてしまったビルは、あまりの出来事に、涙で水たまりができるほど、嘆き悲しみます。
けれど、そこはかしこいビル。背中を伸ばして起き上がり、メリーを追いかけて行くことにします。
メリーを追いかけて、ひたむきに走るビル。
走って、走って・・そして、とうとう!
・・・
見ていて切ないほど伝わってくる彼の一途な思いは、体中で表現されていて、ページからあふれています。
とてもシンプルだけど、大きな感動を胸に残してくれる本です。
小さな子どもも、ビルの切ない思いはわかるようで、いっしょに読んでいると、一生懸命なビルを、はらはらしながら応援しています。
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Posted:
5月 27, 2015 水曜日 at 8:42 am