♧『わすれられないおくりもの』
『わすれられない おくりもの』 (スーザン・バーレイ 作 小川 仁央 訳 評論社)
賢くて、いつも、みんなの頼りにされていたアナグマ。
困っている友だちは、誰でも、きっと助けてくれていたアナグマ。
そんな彼が、ある日、帰らない人となってしまいました。
みんなに、手紙を残して。
「長いトンネルの むこうに行くよ さようなら アナグマより」
森のみんなは、とても愛していたアナグマを失って、悲しみました。
アナグマは、年をとっていたので、以前から、自分がいつか、長いトンネルのむこうに行っても、
あまり悲しまないようにと言っていたのですが、みんなは、その悲しみをどうしていいか、わからなくて、途方にくれてしまいました。
アナグマのことを大好きだったモグラは、ことさら、やりきれない思いでした。
冬が来て、又、過ぎていきました。
そうして、春が来て、外に出られるようになると、みんなは、お互いに行き来して、アナグマの思い出を語り合いました。
モグラは、紙を切り抜くやり方を。カエルは、スケートのすべり方を、キツネはネクタイの結び方を・・・と、みんな、何かしら、アナグマにもらった思い出がありました。
彼は、一人一人に、別れた後でも、たからものとなるような、知恵や工夫を残してくれていたのです。
その、豊かなおくりものは、そのうち、みんなの心を温めてくれるようになりました。
アナグマの話が出る度、誰かが、楽しい思い出として、話せるようになってきたのです。
そして、最後の雪が消えたころ、モグラは・・・。
『アナグマのもちよりパーティ』 (ハーウィン・オラム 文 / スーザン・バーレイ 絵 小川 仁央 訳)
アナグマが元気だった頃、開いたパーティーのお話も、お勧めです。
どちらも、心あたたまるお話です。
5月 21, 2015 木曜日 at 10:45 am