♧『ベンのトランペット』
『ベンのトランペット』(R.イザドラ 作/絵 谷川俊太郎 訳 あかね書房)
手にする度にドキドキする。そんな本がある。
音を絵に描いて伝えるなんて、そうそうできるものではない。
が、この本を開くと、リズム、響き、そしてジャズ奏者の息づかいや熱気までもが感じられる。
音に思いを込める演奏者の表情の表現は圧巻。
この本の魅力はそれだけではない。
ジャズクラブのトランペット奏者に憧れる少年は、トランペットなんて持っていない。
飽きずにいつも架空の楽器を演奏している。
彼にとってそれは至福の時間。
だけど、ある日、それを見た男の子たちに、ばかにされ、げらげらと笑われてしまう。
すっかりしょげている彼に、あの、トランペット奏者が近づいてきて・・。
少年の自由で純粋な思い、熱く、そしてクールな大人の魅力、全ての境界線を越えてしまう音楽の力、
それから・・モノトーンで描かれる世界の深さに浸る喜び。
大人が読んで、じゅうぶん楽しめる絵本。
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5月 20, 2015 水曜日 at 9:41 am