♧『フレデリック』
『フ レデリック -ちょっと かわった のねずみの はなし-』
(レオ=レオニ 作 / 谷川俊太郎 訳 好学社)
石垣の中に住む、のねずみたちは、冬にそなえて、大忙し。 食べ物のない時期のために、昼も、夜も、せっせと毎日働いていた。
だけど、仲間のフレデリックは、みんなと一緒に食べ物を集めるために、ちっとも動こうとしない。
「フレデリック、どうして きみは はたらかないの?」みんなは きいた。
「こう みえたって、 はたらいてるよ。」
と フレデリック。
「さむくて くらい ふゆの ひの ために、 ぼくは おひさまの ひかりを あつめてるんだ。」
こんな調子で、みんなに聞かれる度に、フレデリックは、「光」や「色」、そして「言葉」を集めていると言うだけ。
とうとう冬がきて、のねずみたちは、石垣にこもりきりになった。
そのうち、みんなで集めた食べ物も少なくなり、のねずみたちは、寒さと空腹ですっかり元気がなくなってきた。
「きみが あつめた ものは、 いったい どう なったんだい、 フレデリック。」
みんなに尋ねられたフレデリックは・・・。
『スイミー』や、『あおくんときいろちゃん』の作家、レオ=レオニが画いた絵本。
雨の降り続く一日や、なんだか気が晴れなくて眠れない夜など、物語を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたり・・・イマジネーションを働かせると、ちょっと気持ちが持ち上がって、もう一度、なんとかやっていけそうな気になる事があります。
そんな時、フレデリックの事を思い出すと、
「住むところや食べるもの、それはとても大切だけど、大切なのは、それだけじゃないよ・・・」
小さなフレデリックが、ちょっとはずかしそうに、つぶやいている、そんな気がします。
7月 4, 2012 水曜日 at 1:11 pm